「ねぇ、聞いてます?」
利央が膨れながら「慎吾サン最悪〜」と毒づいてくる。
部活の中休み中、バッテリーの輪からはみ出された利央が俺の元にやって来たのは気付いてはいたが…話までは聞いていなかった。
女子達がやっていた心理テストを俺に試す…なんて言っていた気はするが…。
「悪ィ。何だっけ?」
「マヂで聞いてなかったんスね…。もう一回言いますよ?
俺と和さんと準さんが溺れていて、慎吾サンが助けに来るんだけど…ボートには一人しか乗れないんです。で、慎吾サンなら誰を助けます?」
ありがちな質問だな…なんて笑ってやるがこんな質問は質が悪すぎる。
全員を助けられるなら兎も角…誰かを殺さなければならないなんて。
笑えない。
「それって答えるべき?」
「テストですから気軽に答えて下さいよ!」
そう言われても必ず犠牲は出てしまうわけで…
「ん〜。そーだな…。」
ふ、とバッテリーの方に目をやると楽しそうに笑う準太と和己がいる。
その後ろ姿を見て俺は一つの妙案を思いついた。
「なあ…利央。決めたぜ。」
「誰スか?慎吾サン!!」
「俺はお前と和己を助けてやるよ。」
「………はい?一人って…言って」
「俺が降りたら二人助かるだろ?だからお前と和己。」
「…準サンは?」
利央の声と準太の笑い声が重なる。
「一緒に死ぬのも悪くねえかもな。」
「慎吾サン?」
「…って嘘に決まってんだろ…間に受けんなって。」
話が一区切りしたところで休憩時間も終わりに近づき集合の号令が聞こえた。
立ち上がった瞬間に準太と目が合う。
ほんのりと紅くなった頬が妙に色っぽい。
(そんなに和己の方がいいかねぇ…)
頭の中でひとりごちっていると利央が「集合ですよ?」とユニフォームの裾を引っ張っていた。
利央はさっきの俺のテストの解答が気に入らないらしくまだぐずぐず言っていたが流石に監督の顔が見えると小走りで輪に交わっていった。
俺も急いで輪に入ろうとすると後ろから力を加えられて立ち止まる。
「おい離せっ…って準太?」
確かに利央か準太くらいしか先輩である自分の裾を引っ張ったりしないのだが…純粋に驚いた。
俺が驚くのが可笑しいのか準太はクスクス笑っている。
「んーと、どした?」
とりあえず引き留めたからには用事でもあるのか、と思って準太に尋ねてやると漸く笑うのを止めてじっと目を見てくる。
「な、なんですか?準太クン?監督がキレるぞ。」
なんとなく気まずい空気に耐えられず茶化してみると監督という言葉に反応したのか準太が早口で告げてくる。
「さっきスゲー利央と楽しそうに話してたじゃないスか…。」
へ?
よっぽど間抜けな顔をしたのか準太は「もういいです。」と言って駆けていった。
その後ろ姿を呆然と見ていると俺は笑いが込み上げてきた。
「それは嫉妬っていうんだぜ?」
走る準太に向かって叫んでやると準太は真っ赤な顔で振り返る。
何か言いたそうな唇はツンと尖らされていて…。
漸く追いついて隣に並ぶと俺はこっそり耳元で囁いてやった。
「俺はお前と一緒に死んでやるよ。」
準太がキョトンとした顔で意味を図りかねている。
ただ、言いたいことはその言葉通り。
アナタとならば心中希望厭いません。
「オレ、記憶力は割といいッスよ。…知りませんからね。後悔したって。」
そう言って準太は微笑む。
多分この約束はまだ必要のないモノとなりそうだ。
fin
オマケ…
「準太ッ。何しゃべってんだ?集合してんのに私語とは何事だ、このタコッ。グラウンドでも走ってこい。」
「ちょ、ちょっと…今のアウトッスか?え、グラウンド走るンスか?このクソ暑い中!!」
「じゃあ今日は守備中心の練習ってことで(シカト)」
「慎吾サン!!!一緒に死んでくれますよね。つかアンタ元凶だし。」
「え…このクソ暑い中を?」
「オレ…一人で死んでいくの辛いです…。ねぇ?慎吾サン…。」
「う…」
「地獄の果てまで一緒に行きましょうねッ。慎吾サン。」
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アトガキ
小ネタを微修正してみました。いっそう訳分かんないな…。もっと文章をよく書ける人になりたいよぅ。
なんか…アタシが書くと慎吾サンがヘタレっぽくて…。
格好良く書きたい。そして準太よ…もう少し可愛く書きたいんですよ、、、、一応。
より精進あるのみです。
お粗末様でした。 2005/09/26
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