「ねえ。知ってます?この先の公園にサクラが咲いてるんですよ。」
部活が終わり、鍵を返しに行く和己を待つ時間。
準太と過ごす数少ない二人っきりの時間。
その他愛の無い会話をして過ごす延長で準太がそんなことを言い出すから思わず聞き返してしまった。
「サクラ?あのピンクの?花の…」
「その桜です。家の近所の公園に一本だけ咲いてるんですよ。」
「へぇ…気持悪ィ」
慎吾サンってそういう人ですよね…と準太が溜息を吐きながら一人ごちる。
一体、何を期待されていたのか分からないが機嫌を損ねたのは確かのようだ。
結局、それから和己が帰ってくるまで準太は遠くを見つめたまま黙っているから準太のいうサクラもそのまま聞きそびれてしまった。
なんとなく寂しそうにしているのは気のせいだろうか…。
「サクラがさ、咲いてるって。準太が言ってた。」
準太と別れて和己と歩いているとふ、と気になって口に出た。
怪訝そうな顔をする和己の顔をみると初耳だったようだ。
何となく和己の知らないことを知っていた、という優越感が顔を緩ませる。
ただ…彼を怒らせたのも事実だったが。
「狂い咲きかな?こんな秋に咲くなんて珍しいな。」
「気持悪いって言ったら怒られた。」
「そりゃな〜準は繊細なんだよ。気を使ってやれ、先輩。」
「ん〜。春になればいっぱい咲くのに。」
それっきり和己も俺もサクラの話なんて忘れきっていた。
準太にとっても他愛のない会話だと思っていた。
それからもう1年が過ぎる。
「ねえ、慎吾サン。俺ね一回慎吾サンに振られたんです。」
腕の中で準太が小さく震えた。
此の一年の間で二人の関係も大きく変わってしまった。
一年前には想像もつかなかったことだらけだ。
「サクラ…見たかったのにな〜」
サクラ…?
「…狂い咲きの?」
「そうです。綺麗だったんですよ。一本だけ大きな桜が咲き誇ってたんです。」
ユメを見るかのようにうっとりする準太はまるで花に魅せられたかのようだ。
「彼岸花が一緒に咲いてるんです。濃い赤と薄い赤が妙に合うんですよ。」
「見に行くか?」
あんまり恍惚として話すから詮無いことと知りながら口に出してしまう。
「いいんです。もう慎吾サンがいるから。」
綺麗に笑う準太に言葉が次げない。
毎年決まって咲く花よりも気まぐれに咲く花。
確かに俺たちの関係に似ているかもしれない。
狂ったサクラと彼岸のサクラ
刹那だけでも永遠にと願う…
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去年は台風の影響からか近所の学校で狂い咲きがありましたけど
今年は見ませんね〜。狂い咲きってそんなに色も綺麗じゃないけど
サクラって基本綺麗ですよね。
大好きな花デス〜典型的日本人なんですわ
四季の花咲く頃