「あ、アイス食いてぇ。」


土砂降りの中、準太がそんなことを言いだした。

もうすぐ11月に入ろうとする季節は北風を呼んで来たようで

朝や部活帰りの夕方は特に冷える。

セーターを着込み始めた群衆の中、ただ準太はソフトクリームののぼりを見詰めていた。


「リンゴソフト…慎吾サン!」


「はいはい。いますよ。で、何?欲しいの?」


「はい。」


「お前ね…絶対最後まで食べろよ?」


「大丈夫ッス。」


つか、俺お前の財布ですか…?と理不尽さが一瞬脳裏を掠めるが準太のオネガイとあっては断らない俺。

男の甲斐性だって合理化するのは現実逃避でしょうか…。


ソフトクリーム屋には季節柄か人っ子一人いない。

確かにこんな寒い中、金出して凍えたいヤツはいねぇか…と150円を握りしめてカウンターへ向かった。


「ご注文をどうぞ。」


「リンゴソフト一つ。」


「150円になります。少々お待ち下さい。」


中ではアノ見るからに冷たそうな物体がとぐろを巻いている。

正直、気分は乗らないが、隣に目を輝かせている準太がいるだけでお腹一杯なんて言ってみたり…

僅かに幸せに浸っていると店員がにこやかにソフトを差し出す。


「ありがとうございました。」


ひんやりと冷気を放つソレを準太に渡すと満面の笑みを浮かべた準太。


「慎吾サンありがとうございます!」


…5分後。


「慎吾サン…いらない。」


準太の声に予想していた事態とは言え溜め息を吐いてしまう。


「お前…大丈夫って言ってただろ?いらないって…。」


「うぅ〜だって…だって…イケルと思ったんです〜」


「はぁ〜ったく…貸しなさい。」


「食べてくれるんですか!」


「仕方ないだろ?これっきりだからな?」


そう言って口にソフトクリームを含む。

一瞬、林檎の甘い味が口を覆うが直ぐに冷たさが口中の痛覚を支配し舌をマヒさせる。

半ば拷問に近い責めに俺は恨み半分の目で準太を見た。

ニコニコと機嫌のよさそうな雰囲気。

はぁ。

文句はないけど…なんとなく面白くないので人目の付かない路地で準太の唇を奪う。

準太の口の中は温かくて、甘い林檎の味。


「慎吾サン、冷たいッス。氷みたい…。」


「嫌か?」


「…ううん。気持ちイイす。」


そうやってねだるから甘やかしすぎてしまう。

冬場のソフトクリームも案外悪くないモンだと現金な俺の頭は嘯いた。


--学習能力は闇に葬ってしまえ--



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うちの近所のスーパーにある「フジリンゴソフト」マジでうまいんですよ。
私は…冬でも関係なくアイス食べちゃう子ですんで…
学校帰りとか寄って食べてます。
林檎シャーベットっぽくて本当に旨いんです!
しかも無駄に季節限定…。秋だぞ(笑)
準備とは準太の気まぐれに備えるということの略である。